第6章 分散された認知(tks)
一見必要なさそうな大型制御装置の装置
航空機のコクピットや発電所には巨大な制御装置がある
これらの大型装置は一見必要なさそうに見える
実際に、現代の装置は間接的に操作するため必要ないことも多い
しかし、大型であることが重要な役割を果たしている
大型制御装置が必要な仕事は1人で行うものではない
つまり、仕事を分散させる
仕事を分散させるならば状況への気づきが必要
状況への気づき:ものごとの状態を常に全員に完全に把握させること
例えば、コックピットの中で機長が副操縦士の側にあるレバーを下げるとする
その行為は副操縦士は注意しなくても見える
そこでの動作は、機械の操作だけでなく、コミュニケーションの機能も果たす
他人にとっても自分にとっても役にたつ
=チームメンバーにコミュニケーションと行動の同期が必要
間違った考え:エラーに利点はない
エドウィン・ハチンズの研究
コミュニケーション・チャネルの共有、特にエラー情報が全員に聞こえることが重要
エラーや訂正を聞く=インフォーマルだが本質的な訓練プログラム
2種類の人が訓練を受けている
①エラーを起こした人
②その周りにいる人
▼人の振り見て我が振り直せ
大型装置の計算されていなかった優れた特性
①エラーの発見
②社会的コミュニケーションと訓練の機能の増強
昔ながらのやり方は「偶然」にも活動の共有を効果的にしてきた
とはいえ、言うほど偶然ではない
良くないやり方は自然と淘汰されてきた
→長い時間かけて出来上がったやり方が一見非効率だとしても、性急に変更するべきではない
▼ではどうすればいいかは難しい。
経緯の記録が必要だろう
例えば、ADR
▼人は他人の思考が見えないから、どんな風に思考したのかを記録しておく
コミュニケーションこそ重要
身体性を離れた知
かつての認知科学は身体や世界と切り離された純粋な知を研究しようとする傾向があった
しかし、実際は人間は物理世界の中で機能する
心的プロセスと、物や世界の制約とのインタラクション
tks.icon『私たちはどう学んでいるのか』でもあった話
=分散された知として機能している
tks.icon章のタイトルはこの部分。タイトルだけではよくわからなかったので納得
単純化によってタスクがより難しくなっている可能性がある
もし純粋な知が存在するならば、その主体が知的に行動するためには膨大な知識や計算が必要になる
世界の構造が分散されたと知として機能するから、そうした負荷を軽減してくれる
例:言語の多義性
世界はただ存在するだけで私たちの代わりに記憶してくれる
→事前にプランニングしすぎなくて良くなる
現実の世界では、不可能なことは不可能である
現実の世界において、できない行為は実行できない
人工の世界では、できてしまう
だから、世界をシミュレートするプログラマーは、現実に不可能なことがシミュレーションできないように努力しなければならない
世界とのインタラクションをプログラミングするのは相当に難しい
現実世界は物理法則のおかげで不自然なことは起こらない
一方で、人工の世界では状況を人工的に作り出しているので不自然なことが起こる
夢(ファンタジー)が日常生活の制約から解き放たれているのは人間の心がもつ貧困なプログラミング・パワーのせいかもしれない
▼ファンタジーの逆説
シミュレーションの正確に実行に必要な計算タスクを我々の心がきちんと扱えなかった偶然の産物
シミュレーションにかかる計算負荷を軽減した結果